捻挫

関節が外力により、生理的範囲以上の運動、ないし本来不可能な運動が強制され、関節面の相互関係が瞬間的に異常をきたすが、直ちに自ら正常に復するものをいい、関節包、付着靭帯等の域は断裂を見るものをいう。

狭義の捻挫
骨と骨の間におこる急激な捻れ、あるいは激しい外力による関節周辺の関節包や靭帯の損傷「断裂、半断裂、弛緩)をいう(Thorndike)。
その程度は膝や足関節においては、靭帯の損傷の程度により(O’Donoghueの分類)

T度(軽度、mild) 靭帯が伸ばされた状態。靭帯の小繊維のみの負傷。皮下組織・局所の圧痛のみ。腫脹少なく、関節の不安定性はない。

U度(中等度、moderate) 靭帯の部分断裂。局所の圧痛と腫脹著明。関節の不安定性は少しある。

V(重度、severe) 靭帯断裂。OPE。局所の圧痛・腫脹著明。関節の不安定性あり。

として、関節内外の靭帯を中心に、その程度および安定性を分類の基準にしている(この他Wat-son-Jones、ゲイブの説等あり)。

広義の捻挫
広義の捻挫とはその基礎的状態(姿勢、体位、上下肢の形態、作業の型、運動の特殊性、関節の形態や運動制限等)のもとに種々の外力(直達、介達)、自己運動が加えられ、各部に損傷障害を残すものである。

日本の捻挫:柔道整復術における「捻挫」はこれらを含めて「捻=捻いる、挫=挫く」と広い意味に慣用される用語であり、
指、膝等の単一な関節はもとより、二つ以上の関節の組み合わさったもの、さらに多数の関節と筋運動が重なり合った部で、
例えば肩や頸、腰部捻挫と呼称している。