スポーツトレーナー

  スポーツトレーナーとは?
1)競技スポーツの世界でトレーナーと称する場合は、選手の素質・才能・技術・体力をより一層『高める』為に働きかけを行う者。および選手の外傷・傷害・疾病などに伴う影響をより小さくする為に働きかけを行う『者』を総合していると考えられます。

2)チームや選手団の中でいえば、コーチ陣と連携・協力して競技力の向上を計ると共に、ドクターと連携・協力して外傷・傷害・疾病の予防とケアーに務めるのが、トレーナーの主要な役割となります。

3)財団法人日本体育協会アスレチックトレーナー養成計画<1994年6月>によれば、その役割は「本会公認スポーツドクター及び公認コーチとの密接な協力の元に、スポーツ選手の『健康管理』『傷害予防』 スポーツ外傷・傷害の『応急処置』リハビリテーション及び体力トレーニング・コンデイショニングなどを担当する」とされています。

 選手をサポートするスタッフ
@監督・コーチ・・・・・・・選手に専門的な技術や練習法を指導
Aマネージャー・・・・・・ スケジュール管理・運営
Bストレングスコーチ・・・筋力・体力面のプログラム管理
C栄養士・・・・・・・・・・・・栄養面を専門的な立場からアドバイス
Dドクター・・・・・・・・・・・・健康管理を医学的側面から支える。
Eトレーナー・・・・・・・・・スタッフと協力して選手の健康管理をしたり、スムーズに動くよう現場でコーデイネートしていく

 スポーツトレーナーの任務
トレーナーの役割は、競技選手の『健康管理』に携わる専門的な立場にあります。
その役割は、スポーツの現場を中心とした健康管理の中核として『救急』『コンデイショニング』『リコンデイショニング』外傷後の『アスレチック・リハビリテーション』『トレーニング』などの任務を担当します。

スポーツトレーナーの役割
1.主体をスポーツフイールドにおく。
2.医学・及び体育科学の知識・技術を持つ。
3.健康管理体系を構築し、その中心をなす。
 @疾病の予防・リコンデイショニング
 Aコンデイショニングの調整
4.スポーツ専門医及び医療機関と提携し、疾病・外傷の管理にあたる。
5.現場での疾病・外傷への救急体制を確保。

これらの業務を行うには『法的な資格』による制限がある。選手の身体に触れるには、相応の「医療資格」が必要であり、資格の無いトレーナーは、資格者に委ねるシステムか方法を選択するべきである。
(医療側)     ・・・・スポーツ専門医・理学療法士・看護師など
(コンデイショニング)・・・鍼灸師・柔道整復師・マッサージ師など
(スポーツ側)・・・・・・・監督・コーチ・指導者

トレーナーの仕事は独断的業務で無く、上記スタッフと協力して、単独で活動するのではなく、健康管理チームの一員として競技選手にとって最良の『環境』をつくりあげる事が大切。

スポーツトレーナーの具体的な仕事
@コンデイショニング
※選手が競技にベストな状態で臨めるように、選手の状態を把握する。
※ドクターと協力しメデイカルチェックを行う。
※データーを元にドクターと相談し、日々の健康管理を進める。
※栄養士と協力して『栄養状態』にも気を配る。
※疲労に対しては、マッサージやストレッチングを行う。
※怪我をしている選手にアイシングやテーピングを施す。
※選手の心の状態にも注意を払い「メンタルコンデイショニング」を整える。
※自分自身をケアーする『セルフコンデイショニング』を教育する。

Aリコンデイショニング
コンデイショニングに「回帰する」という意味の「リ(RE)」をつけると、良い状態に戻る事、つまり怪我や病気などの悪い状態から、良好な状態へ、さらには「スポーツ」への復帰を意味する。
スポーツ選手のリハビリテーションは、受傷した選手の「競技への復帰」をゴールとしており、ADLを目標とする一般的なものと分ける為「アスレチックリハビリテーション」とか「リコンデイショニング」と呼ばれている。
1.ドクターや専門化の手を離れてからの「管理」はトレーナーが行う。
2.管理方法等をよく相談し、競技に復帰するまでを管理する。

 スポーツトレーナーの現状
現行のトレーナーは「自称トレーナー」です。
これらのトレーナーは、企業・病院・治療院からの派遣が多く、チームが雇用している場合とに分けられます。

A 職業とする者
  @医療資格者  PT・OT・ドクター・鍼灸師・柔道整復師
  A学生時代運動部で「トレーナー経験」がある者
  Bアメリカでとれーなー資格取得者  NATA

現行のトレーナーには「資格制度」はなく、1994年から「財団法人 日本体育協会」では、指導者制度の一貫として「アスレチックトレーナー」の『認定制度』を発足させたが『国』が認める資格制度とはなっていません。

内科的疾患に対するトレーナーの役割
1.疾患発生の予防
 @環境要因の評価 :気温・湿度・日照・風・有害物質など。
 A固体要因の評価 :体力・当日の体調・持病の有無・既往歴など。
 B負荷強度の評価 :運動負荷に無理ないか、、負荷強度を、疾患が発生しないようにコントロールするとともに、起こりえる疾患を予想する

2.疾患の発見
@自覚症状から :息苦しい・動機がする・めまい
A他角症状から :血圧・脈拍・呼吸数・体温の異常をチェックすることが基本。青白い顔、普段と違う運動動作なども疾患発見のきっかけとなる。

3.疾患発生の際の対処
@安静・すなわち運動の休止がすべてに優先する。
A経験的に個〃の人に対する対処法が分かっているものは、それを行い『経過』を見るのも良い。
B新たな疾患が出現したと考えられる時、なんだかよく分からないが、とても苦しそうな時は、病院を受診すべきである。
Cまれではあるが、救急車が到着するまでの間、トレーナーが「救急蘇生」を行わねばならず、それにより「生死」が決定されるという事態も起こり得る。
D救急時に備え、連絡方法も含め対処法をマニュアル化しておく事が重要。

各内科的疾患への対処法
1・熱中症
熱中症とは、高温環境で発生する障害の総称で「熱失神」「熱疲労」「熱痙攣」「熱射病」に分類される。

@熱中症の症状のみかた
発汗に対し適切な水分・塩分補給が行われていないと、体内の水分・塩分量のバランスが乱れてくる。この乱れにより、脱力・倦怠感・頭痛・吐き気をきたす。
熱放散の為の、皮膚血管の拡張や、脱水により頻脈・血圧低下をきたす。
熱失神・熱疲労・熱痙攣は、以上のような基本的、共通的土台の上に、それぞれ「一過性意識消失」「高度の脱力・倦怠感」「筋痙攣」をきたしたものである。
熱疲労の状態がさらに進展すると、脳の体温調節中枢が破綻し、発汗が停止する事により体温は、40℃以上に上昇し、全身の臓器に障害を起こし、生命の危険な状態ともなりかねない。

A熱中症の予防
1、熱中症の発生に関与する環境の評価
気温・湿度・風速・輻射熱
2、熱中症の発生に関与する人体側の評価
○暑さへの馴れの程度・運動強度・水分・塩分補給の適切さ・体調
○運動強度
○水分・塩分補給の適切さ
○体調

B熱中症の救急処置
熱失神・熱疲労・熱痙攣の場合
1、まず涼しい場所に移し、安静を保つ
2、衣服をゆるめ、頭を低くして寝かせる。
3、水分を補給する。
4、吐き気が強く、水分補給が難しい場合は病院へ運び「点滴」にて水分補給をしてもらう必要がある。

※熱射病の場合
発汗がなく、体温が40℃以上の時、意識障害のある時、症状が激しい時は熱射病が考えられるので、すぐ救急車を呼ぶ。
救急車が来るまで、できるだけ早く体温を下げる。

                                             (明治東洋医学院でのテキスト参照)